この季節になると思い出す。

昔、春先に鬱になりかけた事があった。
メジャー誌で連載が決まり、意気揚々と仕事を始めたのだが、私の描くお話はどうしてもホラーティストになってしまう。
ついた編集から、
『これではダメです。ホラーにはしないでください。』
と毎日のように言われた。
メジャー誌は明るく楽しくがモットーだから、仕方ない。
念願のメジャー誌連載だから、と編集の言葉に従っていた。

しばらくして私の顔から笑顔が消えた。
身体が重く感じるようになってきた。
何をしていいのか決められなくなってきた。
考えがまとまらなくなってきた。
何故か無性に泣きたくなってきた。

そこでヤバイ!と気づき慌てて連載を終わらせ逃げだした。

せっかく手にしたメジャーの入り口だったが背に腹は変えられない。
描けなくなったらおしまいだ。
制止する編集を蹴飛ばしメジャーの檻から飛び出した。

メジャーかマイナーかなんて気にせずに好きに漫画を描きたかった。
描いたのはそれまでとは真逆のギトギトホラーだった。
初めてのデジタル作画も始めた。

デジタルと悪戦苦闘してる内に鬱から脱していた。
気がつくと、メジャーから飛び出して10年が過ぎていた。
仲間から伝え聞く話だとメジャーが低迷してるという。

私が居た頃はメジャー黄金時代の最後あたりだったのかもしれないなー。
鬱に陥っていたのは、時代が変わり始めた事への警告だったのかなー、
と強く感じる今日この頃である。